05.ABMシステム
ABMシステム
ABMシステムとは、ABMサーバ(放送統括サーバ)を中核に、EDPS(営業・放送統合システム)、DAW(番組・素材制作、編集、送出システム)、インターネット等の放送局の業務全般をサポートする統括システムです。
【ABMシステムの特徴】
(1)多重編成・多方向送出
この統括システムは、複数送出方向を目的に設計され(多重編成・多方向送出)、インターネットを活用したWebシステム等、めまぐるしく変革する放送局業務のニーズに柔軟に対応しています。
※多重編成
天気の状況等によって本来放送すべき内容と異なる内容の番組やCMを放送する場合があります。このような場合には、通常用、雨用、などと1日の放送内容を複数個作っておき、状況に応じて変更して放送する場合があります。FM 大阪ではAプロ、Bプロ(Bプロは3つまで可能)と呼んでいます。
※多方向送出
本来の放送(FM 大阪の場合は85.1MHzで放送している番組)に加え、ネット局への送り用のチャンネルなどに対応するため、4つの「送出方向」に対応しています。
(2)総合一元管理システム
ABMにより音声素材情報、管理情報を一元管理することができ、各放送業務間の定型的なやり取りを排除し、スムーズな業務の流れ、シームレスな運用が可能としています。
また、APSの運行データ、DAFの運行データ・音声素材ファイル及びディスク管理等、他システムにLANで完全に接続・融合しています。
(図)ABMシステム構成図
(図)ABMの運用フロー
(3)電子キューシートの自動作成
EDPSで登録された番組のフォーマット情報を基本にオンエアフォーマットを作成し、スタジオからの生放送または収録作業を経て、電子キューシートを自動作成しています。
(4)信頼性、安全性
ABMサーバは信頼性と安全性を確保するために二重化し、サウンドライブラリーはRAID構成としています。(容量は現在、1.5TB(テラバイト)以上あります)
(5)ABMネットワークの2重化と高速化
ABMシステムのネットワークを2重化すると共にDAW系のLANではGB−LANを採用しファイル転送等の高速化を実現しました。
【ABMシステムの構成】
(図)EDPS端末の画面例
(1)EDPS機能
EDPS機能の特徴は以下のようになっています。
・多重編成対応
番組基本のフォーマットを任意のチャンネルに展開
・4方向送出対応
ローカル放送(STLと称す)、NET出し(ネット局への送信用のチャンネルです)、
その他放送用の2チャンネル 合計4つの送出方向
・営業放送管理業務をフルサポート
自動CM時間取り(スケジューリング)機能、
APS・DAFの放送運行データ、番組・CMデータの受け渡し等
・信頼性の確保
指定日間の編成フォーマット比較機能、
APS・DAFデータの整合性チェック等
・操作効率を追求したインターフェース
タイムテーブルイメージを採用したインターフェース、
ユーザー管理機能を搭載
(2)DAW機能
DAWは各スタジオ、マスター室にDAW-REC(レコーダー端末:デジタル2系統入力対応録音端末)、DAW-PB(プレイバック端末:デジタル4出力再生端末)をセットにして配置しています。
録音端末と再生端末に分けた理由は各端末のCPU負荷が重くならないようにするためで、オンエア機器、放送機器であるがための安全を考慮した結果です。
【DAWの機能の構成】
・キューシートマネージャー
EDPS機能で自動生成されたキューシートを管理します。
・オンエアフォーマットマネージャー
素材管理を包含したオンエアフォーマットを管理します。
・オンエアフォーマットプレーヤー
作成したオンエアフォーマットでの再生を行うツールです。
・シンプルプレーヤー
ジングルや効果音を、「ポン」と出す、ポン出し再生ツールです。
・マルチレコーダー
録音用のツールで、波形編集とリンクしています。
・CDマネージャー
CD棚(CDが管理されている棚です)管理、音源管理等を行います。
01. 建物・ロビー
02. スタジオエリア
03. スタジオの音響
04. 放送システムの基本設計
05. ABMシステム
06. DAW
07. DAWを使った制作
08. APS・マスター設備
09. DAFシステム
10. スタジオの機器
11. その他システム
12. 送信所・中継局
13. 電源設備
14. 空調・消火設備
15. 終わりに