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DAW

ここではDAWの詳細機能を説明します。FM 大阪ではこのDAWを中心に番組が作られています。
 
(1)オンエアフォーマットマネージャー
EDPSで作成された編成データを基にオンエアフォーマットを作成し、CDライブラリー情報と音源、事前に録音・登録したスタジオ素材と呼ばれる素材音源等とリンクし、番組制作と直結することで制作業務の簡素化と負荷の軽減しています。
そして、素材送出履歴の入った録音済あるいは生放送済オンエアフォーマットから電子キューシートを自動作成します。また、JASRAC(日本音楽著作権協会)への使用楽曲情報提出時の詳細情報、ネット番組情報を付加することで各種提出書類を作成することが出来ます。
社外制作の場合はExcelなどで作られたファイル(社外制作時の電子キューシート等)の取り込み・読み出し機能を有し、外部データからオンエアフォーマットへの取り込みが出来、BWF-J(またはWAVE)の音源をMOディスクからインポートする機能もあります。
応用機能として波形編集ツールに直接オンエアフォーマットを展開させ、フォーマット情報に基づきノンリニア完パケ作業も可能です。
 

【図】オンエアフォーマット画面
 

【図】波形編集画面
 
(2)オンエアフォーマットプレーヤー
オンエアフォーマットプレーヤーとは「オンエアフォーマットマネージャー」で作成されたオンエアフォーマット情報を基に、必要な素材をダウンロードし、素材送出するリストプレーヤーです。
リアルタイムで本線4系統、モニター1系統の同時再生が可能で、調整卓のフェーダー情報(フェーダーUPし、ONLINEしているCDプレーヤ等の周辺機器情報)をシリアルデータで通信し、スタート時間をオンエアフォーマット上に自動入力します。
また番組のスタート信号(BC$STANDBYまたはBC$START)、CM差し替え信号QA(BC$CM)、番組の終了時のEND信号QB(BC$END)等を必BWF-JフォーマットのCuePoint-Chunkを入力します。キーボードでの入力も可能です。

※BC$信号とはBWF-Jで規定されている、各種制御信号のことで、ファイルに埋め込まれた形で信号を設定でき、これを使用することで各種制御ができるものです。
 

【図】オンエアフォーマットプレーヤ画面
(3)マルチレコーダー
マルチレコーダーは各種素材及び番組の録音を目的としたツールです。
有音検知機能による録音開始、無音検知による録音停止、必要な音源部分だけを切り出し、波形編集、再生時の自動頭出し等が可能です。
波形編集への展開やBWF-Jの情報等を閲覧出来るビューアー機能も持ち合わせています。
 

【図】マルチレコーダー画面
(4)波形編集
マルチレコーダーの機能の1つに波形編集があります。波形編集はスタジオやモニターデスク等で出来ますが、社外でも編集可能なように汎用ソフトを採用しています。
ファイルの受け渡しは現在、MOディスクで行っています。ファイル形式は16ビット、48KHzサンプリング、非圧縮のWaveファイルです。

(5)シンプルプレーヤ(ポン出し)
シンプルプレーヤは生番組、録音番組中の素材(効果音、BGM、JINGLE等)の簡易再生機能を備えたツールで、マウスだけでなく画面インターフェイスにあわせた専用のパッドコントローラを用いてリモート操作ができます。
シンプルプレーヤは、1シート20素材セル、10シート1グループで構成され、1グループ最大200素材セル登録でき、シートをまたいだ運用が出来ます。機能としては複数素材セルのMIX再生、ループ再生、後押し優先再生等の機能があります。
また、シンプルプレーヤを2面立ち上げDAWの4出力の内、2出力をシンプルプレーヤに割り当てる運用も可能です。
 

【図】シンプルプレーヤー
(6)DAWのファイルフォーマット
DAWの番組等のファイルフォーマットはBWF-Jフォーマットとし、CuePoint-Chunk等の実運用を世間に先駆けて行いました。そのためDAFの番組やCMのバックアップとしてのMOレコーダーのファイルフォーマットもBWF-Jしています。

(7)CDマネージャー
CDマネージャーは棚管理/音楽素材管理システムの代表的なものでCDライブリー管理、シンプルプレーヤー及びオンエアフォーマットプレーヤーで使用する音源素材等を一元管理するデーターベース管理です。

(8)その他機能(放送サポートシステム)
ABMシステムのサポート機能として以下の5つがあります。
●裏録機能
●同録機能
●番組登録状況監視機能
●簡易DAF機能

●裏録機能
裏録機能はJFNからのネットラインで送られてきた番組、CM素材など事前に録音したり、中継マトリックス(スイッチャーのようなものです)の出力を録音したりする機能です。録音ラインは音源録音としては3系統、音源ファイルの取り込み1系統の4系統あります。録音方法としてはスケジューラーによる予約録音と手動で行う手動録音があります。信頼性と安全性を確保するため、完全独立2重化方式を採用しています。

●同録機能
同録には営業同録と法定同録と2種類あり、営業同録はMP3形式のファイルを使用し、ステレオでFM放送と同等の音質で3ヶ月分ストックしています。
法定同録もMP3形式のファイルで、モノラルで音声帯域4kHzまでの音質で1年間ストックします。営業同録支援機能として、EDPSからの運行データとAPC、DAFそしてDAWからの素材送出結果データーを元に番組、CMイベントと音声ファイルを関連付けしています。信頼性と安全性を確保するため、裏録機能と同様、完全独立2重化方式を採用しています。

●営業同録支援機能
同録音声データーベースをイントラネット上に展開し、関係部門への放送確認書以前での確認を可能にしています。

●登録状況監視機能
登録状況監視機能とはDAW端末をDAFへの登録端末として使用しているため、DAWのサーバと同様、DAFのサーバへの登録状況、ディスク容量管理、DAWからDAFへの転送状況、DAFからDAWへのアンサーなど管理しています。
DAFへの番組登録状況はオンエア表で一見してわかるようにしています。

●簡易DAF機能
簡易DAF機能とはDAWのオンエアフォーマットプレーヤーを使用して番組をプレイリスト順にAPC制御で送出する機能で、DAFのバックアップとして利用しています。