« 放送設備のシステム設計 | メイン | DAW »

ABMシステム

ABMシステムとは、ABMサーバ(放送統括サーバ)を中核に、EDPS(営業・放送統合システム)、DAW(番組・素材制作、編集、送出システム)、インターネット等の放送局の業務全般をサポートする統括システムです。
 
【ABMシステムの特徴】
(1)多重編成・多方向送出
この統括システムは、複数送出方向を目的に設計され(多重編成・多方向送出)、VLOWマルチメディア放送、インターネットを活用したWebシステム等、めまぐるしく変革する放送局業務のニーズに柔軟に対応しています。

※多重編成
天気の状況等によって本来放送すべき内容と異なる内容の番組やCMを放送する場合があります。このような場合には、通常用、雨用、などと1日の放送内容を複数個作っておき、状況に応じて変更して放送する場合があります。FM 大阪ではAプロ、Bプロ(Bプロは3つまで可能)と呼んでいます。

※多方向送出
本来の放送(FM 大阪の場合は85.1MHzで放送している番組)に加え、ネット局への送り用のチャンネルや、今後発展していくデジタル放送などのチャンネルに対応するため、4つの「送出方向」に対応しています。

(2)総合一元管理システム
ABMにより音声素材情報、管理情報を一元管理することができ、各放送業務間の定型的なやり取りを排除し、スムースな業務の流れ、シームレスな運用が可能としています。
また、APCの運行データ、DAFの運行データ・音声素材ファイル及びディスク管理等、他システムにLANで完全に接続・融合しています。
 

【図】ABMシステム構成図
 

(図)ABMの運用フロー
 
(3)電子キューシートの自動作成
EDPSで登録された番組のフォーマット情報を基本にオンエアフォーマットを作成し、スタジオからの生放送または収録作業を経て、電子キューシートを自動作成しています。
 
(4)完全テープレス化
番組はJPPA BWF-Jレベル1運用規定に対応した形式でデジタルコンテンツ(音声ファイル)として管理され、DAFシステムのサーバにコピー転送され、6mmテープレコーダーによるテープを完全にオンラインからなくしました。
 
(5)信頼性、安全性
ABMサーバは信頼性と安全性を確保するために二重化し、サウンドライブラリーはRAID構成としています。(容量は現在、1.5TB(テラバイト)以上あります)
 
(6)ABMネットワークの2重化と高速化
ABMシステムのネットワークを2重化すると共にDAW系のLANではGB−LANを採用しファイル転送等の高速化を実現しました。
【ABMシステムの構成】
 

【図】EDPS端末の画面例
(1)EDPS機能
EDPS機能の特徴は以下のようになっています。
 ・多重編成対応
  番組基本のフォーマットを任意のチャンネルに展開
 ・4方向送出対応
  ローカル放送(STLと称す)、NET出し(ネット局への送信用のチャンネルです)、
  デジタル音声放送用の2チャンネル 合計4つの送出方向
 ・営業放送管理業務をフルサポート
  自動CM時間取り(スケジューリング)機能、
  APC、DAFの放送運行データ、番組・CMデータの受け渡し等
 ・信頼性の確保
  指定日間の編成フォーマット比較機能、
  APC・DAFデータの整合性チェック等
 ・操作効率を追求したインターフェース
  タイムテーブルイメージを採用したインターフェース、
  ユーザー管理機能を搭載
(2)DAW機能
DAWは各スタジオ、マスター室にDAW-REC(レコーダー端末:デジタル2系統入力対応録音端末)、DAW-PB(プレイバック端末:デジタル4出力再生端末)をセットにして配置しています。
録音端末と再生端末に分けた理由は各端末のCPU負荷が重くならないようにするためで、オンエア機器、放送機器であるがための安全を考慮した結果です。

【DAWの機能の構成】
キューシートマネージャー
EDPS機能で自動生成されたキューシートを管理します。
 
オンエアフォーマットマネージャー
素材管理を包含したオンエアフォーマットを管理します。
 
オンエアフォーマットプレーヤー
作成したオンエアフォーマットでの再生を行うツールです。
 
シンプルプレーヤー
ジングルや効果音を、「ポン」と出す、ポン出し再生ツールです。
 
マルチレコーダー
録音用のツールで、波形編集とリンクしています。
 
CDマネージャー
CD棚(CDが管理されている棚です)管理、音源管理等を行います。